大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌地方裁判所 昭和48年(ヨ)270号 決定 1975年3月19日

決定

(当事者の表示) 別紙のとおり

主文

本件仮処分の申請をいずれも却下する。

申請費用は債権者らの負担とする。

理由

(当事者の求めた裁判)

一、債権者ら

1  債務者は、伊達市長和町三一五番の二、三一六番の一および同番の二ならびに日本国有鉄道用地の地先海面33,795.90平方メートル(別紙現場見取図横線の部分)につき埋立工事をしてはならない。

2  債務者は、同市長和町日本国有鉄道用地および同市南有珠町七番の地先海面4246.63平方メートルにおいて伊達火力発電所新設に伴う外かく施設築造工事をしてはならない。

3  債務者は、別紙現場見取図縦線部分の海域においてしゆんせつ工事をしてはならない。

4  申請費用は債務者の負担とする。

二、債務者

主文のとおり

(当事者の主張)

債権者らの申請の理由は、別紙申請書、第一ないし第三準備書面ならびに昭和四九年一一月一二日付準備書面の各記載のとおりであり、債務者の主張は、別紙答弁書および第一ないし第五準備書面の各記載のとおりである。

(当裁判所の判断)

一当事者適格について

本件疎明資料によると、債権者らは、伊達漁業協同組合(以下伊達漁協という。)または有珠漁業協同組合(以下有珠漁協という。)のいずれかの組合員たる漁民であり、債権者ら主張の漁業権は、これらの漁協に異するものであつて債権者ら個々の漁民に直接帰属するものではなく、債権者らは、各漁協が右漁業権の行使に関して設けた漁業権行使規則の定めるところに従つて漁業を営む権利を有するにすぎないことがあきらかである。しかし、債権者らは、債務者の施行する埋立工事により、漁業権が侵害されひいては債権者らの漁業を営む権利自体の侵害を生ずる旨主張し、これを防止するために埋立工事等の差止を求めるというのであるから、各漁協に属する漁業権のみならず、債権者らの有する漁業を営む権利自体もまた本件申請における被保全権利にほかならないのである。そして、かかる漁業を営む権利は単なる反射的利益ではなく、それ自体法律上保護に価する内容を有するものであるから、本件申請につき、右漁業を営む権利の主体である債権者らが申請人適格を有すること勿論である。債務者らの申請人適格に関する主張は、これと異なる見解にたつものであつて採用できない。

二本件仮処分申請が行政事件訴訟法四四条に牴触するかどうかについて

行政事件訴訟法四四条は、行政処分の効力ないしその執行の停止は、同法第二五条に基づく執行停止による場合は格別、仮処分によつてなすことを許さない趣旨の規定であることがあきらかである。

ところで、公有水面埋立の免許は、講学上の特許に該当し、被免許者に埋立の権限を付与する処分であつて、その免許に基づく埋立工事自体は、被免許者が埋立権の行使として実施する事実行為にほかならず、行政機関による公権力の作用としてなされるものではない。もつとも埋立権者は、独占的かつ排他的にその権能を行使しうる立場に立つとともに、一定の期間内において埋立工事を完成させる義務を負うものであり、かようにして実施された埋立工事により埋立免許処分の窮極的な目的が実現されるのであるから、これを行政処分の執行と同様の権力的な行為と考える余地があるようにもみえるが、埋立権は、その行使につき公益上の観点から制約を受けるものの、結局財産的な価値を有する私権にすぎないものと解され、埋立の実施はかかる私権の行使であつて権力的な作用には該当しないものと解するのが相当である。したがつて、仮処分によつて公有水面の埋立工事を差し止めることは、行政事件訴訟法四四条になんら牴触するものではない。

三被保全権利について

本件各疎明資料によれば、別紙当事者目録債権者(一)記載の債権者ら(以下、伊達債権者らという。)は、伊達市内(有珠地区を除く)に居住する漁民を構成員とする伊達漁協の正組合員であつて、同組合がエントモ岬東側の債務者が取水口外かく施設を建設する海面(以下これを本件工事海面といい、右建設工事を本件工事という。)を含む海域(海区第四八号)に有する第一種区画漁業権および右海域とその外側(沖合側)の海域とを合わせた海域(海共第一三五号)に有する第一ないし第三種共同漁業権(ただし、これらの漁業権は、昭和四八年八月三一日、存続期間の満了により消滅し、同年九月一日、これに相当するあらたな漁業権として、本件工事海面等を除く海域につき、伊海区第一号、胆海共第七号、胆海共第八号各漁業権の免許がなされた。)に基づき、同組合の定める漁業権行使規則により右各海域で現実に漁業を営んでいること、別紙当事者目録債権者(二)記載の債権者ら(以下有珠債権者らという。)は、伊達市内有珠地区に居住する漁民を構成員とする有珠漁協の正組合員であつて、同組合がエントモ岬の北西側の海域(海区第四七号)に有する第一種区画漁業権および右海域とその外側(沖合側)の海域とをあわせた海域(海共一三四号)に有する第一ないし第三種共同漁業権(これらについても、前同様に同年八月三一日消滅し、同年九月一日、伊海区第二号、胆海共第五号、同第六号漁業権の免許がなされた。)に基づき、同組合の定める漁業権行使規則により右各海域で現実に漁業を営んでいること、本件工事海面は、右海区四八号区画漁業権および海一三五号共同漁業権の各対象たる海域であつたが、伊達漁協の漁業権放棄決議に基づき北海道知事が昭和四八年六月二五日なした変更免許によりこれから除外されたことがあきらかである。したがつて、本件工事海面については、爾後漁業権の対象たる海域ではなくなつたものであるが、右放棄決議が無効であるとし、これを前提とする埋立免許の効力を争う訴訟が現に係属しているのであるから、観念的には、右海域が漁業権の対象として復活する可能性がないとはいえない。もつとも、本件工事海面一帯の海域においては、かつては伊達漁協の組合員がハタハタ漁などを営んでいたが、最近は漁穫が減少し、これに加えて、し尿処理場の排水が右海域に放出されるようになつたため、前記放棄決議がなされた当時、右海域において漁業を営んでいる者は全くなかつたこともまた疎明資料によつてあきらかである。したがつて、本件工事海面につき、かつて伊達漁協が有した漁業権はほとんど実質を伴わないものであつたばかりでなく、前記変更免許により、法律上もせいぜい潜在的なものとして観念しうるにすぎないものとなつたといわなければならない。

四保全の必要性について

本件仮処分の申請は、昭和四八年七月一四日になされ、債権者らは、申請と同時に多数の疎明資料を提出した。これに対し、債務者は、同年八月二四日付答弁書を提出するとともにその主張に副う疎明資料を提出した。他方本件工事は、これよりさき同年七月七日に着工された。当裁判所は、当初のこれらの主張および疎明資料が出揃つた段階において、本件仮処分申請の当否を検討したところ、これらの疎明資料は、工事による影響については憶測の域を出ないものが多く、本件工事により債権者ら主張の漁業権ないし漁業を営む権利につきその主張の如き侵害を生ずるおそれがかなりあるといえるだけの疎明資料は存在しないというほかはなかつた。

しかしながら、この段階においては、既に、本件工事が本格化する時期を目前に控えていたのであり、工事が本格化するにつれて、埋立水面外の水域に対する影響の有無につきより確かな疎明資料を当事者が入手する余地があり、かつまた、工事の過程において、予想外の事態を生ずることもありうると考えられたので、当裁判所は、この段階においては判断を留保し、工事の進行状況を見まもりつつ、これによる現実の影響等に関する疎明資料の提出をまち、必要に応じて仮処分命令を発し得る態勢をとることとした。爾来一年有余を経過し、この間当事者双方から幾多の主張および疎明資料の追加提出があつた。これらの疎明資料によれば本件工事は、のちに詳述するように、既にその主要な部分を終了したことがあきらかであるが、その工事の過程において、債権者らの営む漁業が右工事によつて生じた海水の汚濁により侵害を受けたものとは遂に認めることができず、また、残された今後の工事によつて侵害を生ずるおそれがあるとも認め難いとの結論に達した。

現時点における判断としては、既に築造された諸施設の存在自体による漁業に対する影響の有無および今後行われる工事によつて漁業に対する被害を生ずるおそれがあるかどうかを検討すれば足りるのであるが、叙上の経緯に鑑み、本件工事が開始されてから現時点に至るまでの工事の概況とこれに基づく債権者らの営む漁業への影響の点についても、併せてここに触れておくこととする。

1  本件埋立工事について

本件各疎明資料によれば、債務者による本件工事の実施状況の概要は次のとおりである。

本件工事は、債務者の重油専焼火力発電所(伊達火力発電所)が用いる冷却用水の取水口施設を設けることおよび右発電所建設に際しての船舶による発電用重量機材の搬入のための物揚岸壁の施設を築造するためになされるものであつて、埋立てられる水面の面積は三万三七九五平方メートル余であるが、施設全体としては、エントモ岬の東側海岸沿いの面積約一二万平方メートルの範囲に及ぶものであつて、その位置関係は別紙現場見取図のとおりである。

取水口外かく施設の築造は、次の順序で実施された。すなわち、まず東護岸とこれに付随する東防波堤および取付護岸が築造され、これと併行して取水口設備および物揚岸壁が設けられ、これらによつて埋立予定地が囲まれた。護岸および防波堤の築造は、投石によつて基礎を固めたうえで、上部にコンクリートブロックを設置する方法で行われた。ついで、西防波堤が同様の方法で築造され、これと併行して別紙現場見取図の縦線部分のしゆんせつが行われた。しゆんせつによつて採取された土砂は、埋立地の埋立用土として利用された。

しゆんせつは、吸込口にホイルカッターを取付けたポンプしゆんせつ船によつて海底を掘さくしつつ同時に掘さく物を吸引し、これを海水とともに埋立予定地に流送する方法で行われた。

埋立予定地は、四つの沈澱地に区画され、流送されてきた砂まじりの海水は、沈澱地の一つに投入されたあと順次、次の沈澱池に上澄み海水が送られ、その間逐次砂が沈澱された。そして、この上澄み海水は、最後の沈澱池を経たあと排水浄化設備に送られ、これを通ることによつて、浮遊懸濁物質が除かれ、しかるのちに東防波堤の内側に放出された。埋立用土はしゆんせつによる砂のみでは不足であつたので、一部は山土を投入して行われた。

これらの投石、しゆんせつおよび埋立の各工事にあたつては、工事施行箇所をとり囲むように海水汚濁の拡散を防止するためのシートが設置され、しゆんせつ開始後は、工事が行われる海域全体を外海から遮断するシートのほかに排水浄化設備からの排水口をとり囲む内側シートが設置された。もつとも、当初設けられたシートは、昭和四八年一〇月二八日、しけのためその相当部分が破損して汚濁防止の機能を果さなくなつたので、債務者は、一たん工事を中止したのち、昭和四九年八月に再開された後の工事にあたつては、構造の改善されたあらたなシートを設置した。このシートについては、部分的な破損はあつたものの、その機能が失われる程の重大な破損事故は生じなかつた。

このようにして、同年一一月末までに取水口外かく施設のうち東西の防波堤および各護岸の築造工事としゆんせつおよび埋立工事はおおむね終了した。

以上のとおり疎明される。

2  漁業被害の有無について

(一) 伊達債権者らについて

疎明資料によれば、伊達債権者らは、その居住する伊達市稀府地区前浜の海域で漁業を営んでいることがあきらかであるが、本件工事海面の近辺の海域で漁業を営んでいることを疎明する資料はない。そして、本件工事海面において、漁業が全く行われていなかつたことは前述のとおりであり、また本件工事によつて生じた海水の汚濁により、伊達債権者らが稀府地区前浜の海域で営んでいる漁業が影響を受け、または今後受けるおそれがあるものと認めるべき疎明資料は全く存在しない。したがつて、伊達債権者らについては、その営む漁業につき本件埋立工事に伴う海水汚濁により被害を蒙るおそれがあるものということができない。また、債務者が築造する施設によつて生ずる潮流の変化およびかえし波による被害についても、かりに債権者ら主張のとおりのかえし波が発生するとしても、右債権者らが漁業を営む前記海域にまでその影響が及ぶものとは到底考えられないから、この点についても、右債権者らの営む漁業が被害を受けるものということはできない。

(二) 有珠債権者らについて

(1) 本件疎明資料によると、伊達漁協が漁業権を有する前記海域と有珠漁協が漁業権を有する前記海域は相接しており、その境界線は、エントモ岬の先端からほぼ西南方向(噴火湾の中心方向)に向かう直線であること、したがつて右有珠漁協の海域のうち、右境界線付近の海域は本件工事海面から至近距離にあること、本件工事海面付近の海流は、噴火湾全体の大きな潮流としては年間を通じて南東流(時計廻り)が卓越しているとみられるが、沿岸に近い海域においては、複雑な様相を呈し、流れの方向も一様でなく、わずかの位置、時間、風向の相違によつて流れの方向を異にすること、有珠債権者らの漁法は、沿岸部においては、ノゾキ箱を利用するウニ、ナマコ、アワビ、ホタテ、昆布等の磯突き漁業とホタテ、アワビ、ウニ、昆布、ワカメ、ノリ等の養殖漁業に大別され、海水に汚濁を生ずると、磯突き漁業においては、視界が狭くなるために操業に支障をきたすし、養殖漁業においても成長阻害等の被害を生ずるおそれがあることがそれぞれ疎明される。

(2) 疎明資料によれば、防波堤および護岸の築造のための投石工事は、昭和四八年七月ごろ開始され、冬期間は休止したが翌四九年春以降に再開され、同年九月ころまで続けられたこと、投石工事現場の海底の地質は砂質であつたので工事による海水の濁りは投石箇所近辺の小範囲にとどまつたこと、しゆんせつは、昭和四九年八月末ころ開始され、同年一一月まで引き続いて実施されたが、ホイールカッターにより掘さく物を海水とともにほぼ一〇〇パーセント吸い込む方法により行われたので、これに伴う汚濁はカッターの回転に伴う切りくずし箇所に限られ、ポンプ吸い込み口の近傍に多少の濁りを生じたにとどまつたこと、吸引された掘さく物と海水は、前述したように沈澱池に投入され上ずみの海水が浄化装置を経て放出されたが、放出口における海水の懸濁の度合いは二〇ppm以下であつたこと、埋立には、埋立用土として他から搬入した土をも使用したが、時化による高波が埋立箇所と海面とを区切つている鋼矢板をこえたために、右埋立用土の一部が海面に流出したこともあつたが、その濁りのほとんどはシート内の海域にとどまつたことがあきらかである。そして、防波堤、護岸、取水口等の築造に関する他の工事により海水の汚濁を生じたことの疎明はない。

海水汚濁防止シートは、前述のように昭和四八年一〇月一八日、時化のため破損したが、その当時施行されていたのは投石工事のみであり、右工事による海水の汚濁が拡散して有珠債権者らの漁業に被害を生じたことの疎明はない。また、昭和四九年にあらたに設置されたシートの一部が破損し、その破片が流出したことが疎明資料によつて窺われるが、このために、本件工事による海水の汚濁がシート外にまで拡散したとの疎明はない。

(3) 疎明資料によれば、昭和四八年八月中旬ころ、噴火湾内に室蘭方面から伊達・有珠両漁協の漁場海域にかけて赤潮が発生したことがあきらかである。しかし、その当時施行されていた工事の内容と右赤潮が発生した範囲を対比すると、右赤潮が本件埋立工事によつて生じたものとは到底認め難い。また、昭和四九年七月ころ、シート内の海域に排出されていたし尿処理場の排水が停滞したため、シート内の海水が赤かつ色に汚濁して、プランクトンが急激に繁殖し易い状況となり、汚濁水の一部は、帯状をなして流出し有珠漁協の漁場にも流入したことが疎明資料によつて窺われる。しかしながら、この汚濁により、漁業被害を生じさせる程のプランクトンの異状増殖がみられたとの疎明はなく、これにより漁獲の減少があつたとは認め難い。そして、同年八月六日に、前記し尿処理場の排水口がシート外の海域につけかえられたので、シート内の海域に排水が停滞するおそれは解消した。

(4) 債権者らは、本件埋立工事による海水汚濁のために海水の透明度が著しく低下した旨主張し、右汚濁を生じた結果有珠漁協の全漁獲高の六割を占める磯突き漁業が大きな影響を受け、その漁獲高は従前の五割以下(ウニ漁では三割以下)に低下したこと、昭和四九年五月下旬から六月上旬にかけて、エントモ岬とアルトリ岬の間のアルトリ岬よりの沖合約六〇〇メートルの海域に設置した債権者ら数名のホタテ採苗器内のフイルムに泥が付着し、同年八月中旬から下旬に引き上げた際に、中のホタテ稚貝は全部窒息死していたこと、更に沖合に流出、拡大した汚濁水により漁貝海草類が死滅して有珠漁協の漁業区域は漁場としての利用価値を失うおそれがあることなどの事態を生じた旨主張する。

しかしながら、前述した本件工事の規模およびその実施状況ことに、海水の汚濁の原因としてもつとも懸念されたしゆんせつ工事が同年八月下旬以降に行われたことからすると、本件工事に基づく海水の汚濁が有珠漁協の漁業海域における海水を著しく汚濁したとはにわかに考えられない。債権者らはその提出した陳述書において汚濁と漁業被害の発生をるる開陳するが、これと牴触する他の資料に照らしにわかに採用し難い。また、債権者らが主張するホタテ稚貝の死滅が発生したことは疎明資料によつて窺われるが、その数量、規模は必らずしもあきらかではなく、これと本件埋立工事との間の因果関係を窺わしめる資料は存在しない。

債権者らは、本件埋立および防波堤等の築造工事が完成すると、潮流の方向および流速が変化して海底漂砂の流動に影響が生じ、海岸地形が変化することおよび返し波が発生して漁船の転覆を招くおそれがあることなどの恒久的な影響が懸念される旨主張する。たしかに、前述したように沿岸においては海流は複雑な動きを示すものとみられるから、右諸施設の完成による地形の変化によつて、エントモ岬近辺の沿岸流に変化を生ずることも考えられないわけではないが、右施設の規模および形態からみてその変化が広範囲に及ぶものとは考え難く、これによつて債権者らの漁業が影響を受けるものとは認め難い。返し波の発生も予想されないわけではないが、堤防および護岸の外側に設置された消波ブロックによつて返し波がかなり緩和されることが疎明資料によつてあきらかであり、しかも、右施設は、至近距離にあるとはいえ有珠漁協が漁業権を有する海域内にはないのであるから、これによつて債権者らの漁業が影響を受けるものとは到底考えられない。

なお、今後に残された工事の施行により海水が汚濁して債権者らの漁業が影響を受けるおそれがあることについては何の疎明もない。

3  以上によると、いずれの点からみても、本件埋立工事等を中止させる必要性はないものというほかはない。

五そうすると、債権者らの各申立てはその余の点につき判断するまでもなく失当であることがあきらかである。

よつて、右各申立をいずれも却下し、申立費用について民事訴訟法八九条、九三条を適用して、主文のとおり決定する。

(橘勝治 佐々木一彦 古川行男)

当事者目録

第一 債権者

(一) 佐々木弘

<外一名>

(二) 神山豊美

<外六四名>

右債権者ら代理人 江沢正良

<外五名>

第二 債務者

北海道電力株式会社

右代表者 四ツ柳高茂

右債務者代理人 山根篤

<外九名>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例